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情熱的な叙事詩に登場する楽器

ちょっと人に聞かれたので西モンゴルの英雄叙事詩『ジャンガル』に出てくる楽器について

『ジャンガル』はオイラートという現在のモンゴル国西部、中国の新疆、ロシア連邦のカルムイク共和国に居住するモンゴル系のエスニック・グループに主に伝承されてきた叙事詩です。成立は15~17世紀初頭。

若松寛訳のカルムイクで採録された『ジャンガル』を見ると

「彼(ブールル・ガルザン(駿馬の名))は艶やかな黄斑の切付のへりを足で音を立てて七千回押し、音を立てずに八千回押しながら走った。並の馬が一回転する間に、優秀なブールルは七、八回転して、一頭もはぐれさせずに行った。去勢馬どもは自らの蹴立てる土塊に驚いて走り、土埃を厭うて駆けた。馬どもが通り過ぎた地面が踏み固められた幅広い道となり、尾からは琵琶・琴の音が発し・・・・」(p.188)

「ブンバ海の岸には四つの湾があり、その切り立った岸に四つの黄教寺院がある。(中略)法螺貝、喇叭の音が下界のザンバ地方にまで響き、忿怒神に捧げる経典の読誦の声が帝釈天の三十三天にまで聞こえる。」(p.240)

「皆の腹が温もり、喉が潤った。ドゥーニ・ゲレルが一曲歌い始め、ドゥンスル・ゲレルがそれに和し、タルバン・ツェツェンがドンブラを弾き、タンサク・ゲレルが立って舞った。天下の美男子ミンヤンに横笛を吹けとの声が起こった。その吹く横笛の調べは、春に黄色い芦の茂みに巣くった白鳥が朝焼けの黄色い光の中で、巣から立ち上がって鳴くがごとく、三代後にまで響き渡るのである。今、黄檀の横笛をむっちりした赤い唇に当てて吹くその調べが、六千のアルタイの山々に染み渡る。」(pp.259-260)

後者のエピソードはヴァリエーションがあって、モンゴル国の出版物には「91本の弦を持つ大きな銀の琴をつま弾けば、葦の中に卵を産んだ白鳥の如き音が鳴り・・・」というのもありました。
ホールではなくドンブラが出てくるあたり、カルムイクで伝承された物語らしいですね。ドンブラはカルムイク周辺の民族の影響によるものですから。

82の柱と800本の弦をもつ箏を弾く妃の話も出てくるのだとか。こんな楽器は存在しえないのですが、これは叙事詩に頻出する「大げさな数でその偉大さを表現する」伝統的手法ですね。800の弦を持つがごとく多彩な曲と音色を弾き分けたたということなのでしょう。

楽器の音色が人々に持たせるイメージが垣間見えて面白いですね。
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Songs by Boris Ochkaev





Boris Ochkaev is a popular singer in Kalmykia.
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Yapony Bagsh

Author:Yapony Bagsh
Welcome to the world of Mongolian music! I've studied Mongolian language and musical culture in Ulaanbaatar(the capital of Mongolia) for one year. I hope you enjoy various music of Mongolic peoples.

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